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『ダリとファッション』展鑑賞記 その4

 投稿者:dalist  投稿日:2013年 1月21日(月)14時35分0秒
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  最後は本展最大の目玉、『メイ・ウェストの部屋』です。


『リップ・ソファ』を手に入れたので、今度はそれを使って『メイ・ウェストの部屋』を再現したい。「手を触れないでください」ではなく、「自由にお座りください」「写真もお撮りください」にしたい。 館長さんにそんな話を伺ったのは、2年前の夏だったでしょうか。 それはすごい! と楽しみにしていたのですが、思いがけない天災で、大幅な計画変更を余儀なくされてしまいました。 でも、ここにこうして実現したのは、慶賀の至りです。


「自由にお座りください」に甘えて、さっそく座らしていただきました。 どんな座り心地なのか、前から楽しみだったからです。 ところがところが、座ってびっくり。 ひえ~、硬い!
なんやこれ、ガチガチのプラスチック成型品やんけ!  こんなもん、ソファーというかッ!!

『唇ソファー』にいくつかのヴァージョンがあることは、前から薄々感じていました。
最初に現物を見たのは、'82年新宿伊勢丹でのダリ展でですが、これはまさに原画の形状そのもの。 もちろんさわれなかったので、感触はわかりませんでしたが、布張りの、いかにもソファーという感じで、薄汚れてはいましたが(失礼!)、色はピンク系でした。 書籍430(MassCulture)の98頁に載っているものや、ダリの自宅にあるもの(書籍326、49頁)、フレディ・ハバードが『キープ・ユア・ソウル』のジャケットで寝そべっているもの(http://www.amazon.co.jp/%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%BB%E3%83%A6%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%82%BD%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%88%E3%82%A5%E3%82%B2%E3%82%B6%E3%83%BC-%E7%B4%99-%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%89/dp/B000095YIL/ref=sr_1_1?s=music&ie=UTF8&qid=1358745105&sr=1-1)も、これの色違いと思われます。
ところが『全画集』等に載っているもの(全画集552)は、背もたれに当たる上唇の凸部が高くなっていて、明らかに形状が違う感じがします。 布地もサテンになってるのか、光沢が増しています。 書籍221の96頁には、「エドワード・ジェームスは、5つのソファーを注文してロンドンで作らせた(中略)最初の作品は単色であったが、2点目からはやや修正を加え寸法を大きくして、2種類の紅色を用いた」と書かれていますが、そうすると、“色違い”が見当たらないこちらの方が、1点だけ作られたという“変更前”のになるのでしょうか?  大きくしたのは横幅のようなので、変更前のは凸部が目立つのかもしれませんしね。
とりあえず、『全画集』等に載っているものを“タイプA”、新宿で見たものを“タイプB”としましょう(ただし、寸法表記を見てみると、新宿展の図録(書籍306)が 86×182×80cm、『ダリ全集』(書籍210)が 86×192×80cm となっている他は、すべて 92×213×80cm で、寸法の違いと形状の違いとは一致しません)。
フィゲラスのダリ美術館に実現された『メイ・ウエストの部屋』の写真を初めて見た時は、唇があまりに分厚くなっていて、びっくりしました。 表面もテカテカで、まるでビニール製みたい。 でもまさか、ダリがビニールで作るわけはないでしょうから、エナメル仕上げの革張りだろうと思いました。 これは、それまでのとはまったく形状が違いますから、“タイプC”としましょう。 それにしても、なぜ以前のと同形状、同材質にしなかった(できなかった?)のか、不思議ですよね。
『創造する多面体』展で展示されたものも、奥まったところに展示されていたので、触るどころか間近で見ることもできませんでしたが、やはり同じものでしょう。
今回諸橋近代美術館に収蔵されたのも、私は“タイプC”だと思っていました。 だから、それがプラスチックの成型品とわかった時は、フィゲラスにあるのもひょっとしたら成型品? と一瞬思ってしまいました。 フィゲラスのも『創造する多面体』展のと同様、触ったり間近で見たりはできないでしょうから、ソファーだといわれれば、まさか誰も成型品とは思わないでしょうからね(正直私だって、今回座らなかったら、革張りの“タイプC”と信じて疑わなかったでしょう。 まさに“百見は一触にしかず”ですね)。 でも今回の会場で、解説パネルに載っていたフィゲラスの写真と現物とを見比べたところ、唇の縦じわの数が明らかに違っていたので、少なくとも同一ヴァージョンではないことだけは確信できました。 帰宅後、『創造する多面体』展の図録(図書室未整理?)を見たら、材質表記が「合成皮革」となっていたので、やはりこちらは成型品ではなく、一応は普通のソファーと考えられます(でも“合成”ちゅーたら、やっぱ“本革”ではなく、ビニールかどうかは別として、その手の樹脂製つーことになる?)。
いずれにしても今回の展示品は、“タイプC”ではなく、それとは違う“タイプD”と判断せざるを得ません。 これは、諸橋美術館には申し訳ないのですが、量販用の簡易ヴァージョンなのではないでしょうか。

で、“タイプD”の座り心地ですが、クッション性のまったくない成型品の割には、くつろげました。 これは2人掛け用の“ラヴ・ソファー”で、唇の左右の凸部が、ちょうど掛ける位置になります。 来館者が少なかったのをいいことに、フレディの真似をして、ついでに“寝そべり心地”も確かめようかと思ったのですが、さすがにそこまでする勇気はありませんでした。


今回はここまでにさせていただきます。 そいぢゃ。



PS:
ダリの絵に感じる動きのなさについては、いずれ日を改めて、また書くかもしれませんが、今回は省略させていただきます。

 
 
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