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『ダリとファッション』展鑑賞記 その6

 投稿者:dalist  投稿日:2013年 2月20日(水)14時12分5秒
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  原画とフィゲラスの『メイ・ウェストの部屋』では、これらの他に“髪カーテン”と“顎の段差”が設けられていますが、諸橋美術館の展示では、いずれも省略されています。 その代わりとして、原画の背壁と同じ赤いパネルを、ちょうど“髪カーテン”の間から見える顔の形に切って、背壁に貼っていました。 これは、“簡易再現”としてはなかなかうまい方法だと思います。 (余談になるが、背壁が真っ赤だったことに、改めて気付いた。 部屋の壁をこんな色に塗る人がいるのかしら。 ダリは、なんでこんな色にしたのでしょうねえ)

かくしていよいよ、“これで顔に見えるか?”ということになりますが、結論からいえば、ちゃんと顔に見えて感激しました。 というのは、ここにもひとつ、以前から懸念していた問題があったからです。
フィゲラスの『メイ・ウエストの部屋』の写真を初めて見た時には、背壁が垂直でなく、若干傾いていることにも気付きました。 私はそれを見て、ハハ~ンと思ったのです。
『メイ・ウエストの部屋』の原画は、部屋をほぼ真正面から描いています(と思われる)が、実に顔の下半分が床になっています。 正面から見て床がこれほどの分量を占めるためには、まるで体育館みたいにかなり大きな部屋(必要なのは奥行きだけなので、廊下のような部屋?)でなければなりません。 ダリの絵には、いかにももっともらしく見えても、実際にはそんなふうにはならないものが少なくないのですが、これもそのひとつなのです。
それを無理に実現しようとすれば、方法はふたつ。 床に傾斜を付けるか、斜め上から見下ろすかです。 もちろん、床を傾けたのでは部屋としては使えないので、上から見下ろすしかないのですが、そうすると真正面から見たことにはならなくなるので、それをごまかすために(?)、背壁を傾けたのでしょう(床を傾ける代わりに、背壁の方を逆方向に傾けたともいえる)。 今回、“簡易”とはいえ、実際に再現されたものを見てわかったのですが、正面から見たのでは、“唇”と“鼻”も重なってしまうのですね。 それを回避するためにも、上から見下ろす必要があったのです。
今回も、顔を見るためには、撮影用(!)の台に上がって見下ろさなければならなかったのですが、予想以上に(?)ちゃんと見えてびっくりしました。 もちろん、背壁は傾いてはいないのですが、まったく不自然には感じませんでした。 これは、人間の視覚には、脳による補正機能が働くためでしょう。 写真に撮ると、角度のあることが見え見えになってしまうと思われますが、この場合はアオリ撮影をすれば、ほぼ原画通りのイメージに写るはずです。
いずれにしてもお見事で、フィゲラスになど行けない者にとっては、国内で(それも日帰り圏内で)これだけ見られたのはありがたいことと、感謝しております。 とにかく立体作品は、実際に見てみないと、いくら写真でなんか見ても、わからないことがいっぱいありますからね。

今回の鑑賞では、残念なことがひとつありました。 それは、行った時期が悪かったからではありますが、“人のいる部屋”が見られなかったことです。
フィゲラスの『メイ・ウエストの部屋』は、おそらく立ち入り禁止でしょう。 であれば、人がいる状態は見られません。 もちろん、他の見学者にうろうろされたのでは、“顔”として見る時にじゃまでしょうし、“無人の部屋”というのもありでしょうが、私は部屋は、人がいてこそ部屋だと思うのです(特に『メイ・ウエストの部屋』は、リヴィング・ルームでしょうから)。 今回の展示は立ち入り自由だったので、人のいる“生きた部屋”が見られると期待したのですが、あいにく来館者が極端に少なくて、結局“無人の部屋”だったんですよね。 これは再展示に期待することにしましょう。

もうひとつ気になったのは、この展示はどういうカテゴリーになるのか? ということ。
『メイ・ウエストの部屋』自体はダリの作品でしょうが、今回はそれの移動展示(借り出し)ではないし、精巧なレプリカでもない。 “簡易再現”って、展示としてはどんな位置付けになるのでしょう?  そういえば、『創造する多面体』展の『ヴィーナスの夢』コーナーでも、天井から蝙蝠傘を吊るしたりして、当時の雰囲気を出そうとしてましたが、あれも似たようなものだったのかもしれませんね。

なお、この“家具コーナー”には、ダリがデザインした宝石もパネル展示されているのですが、ダリの宝石には“置きもの”(?)もあるものの、ほとんどはアクセサリーでしょうから、このコーナーに置くのはどんなものでしょうか(おそらくは、他にスペースがなかったからだと思うが)。

今回は休館直前ということで、いつも話を聞かせていただく学芸員さんが全員お休みで、裏話等は伺えませんでした。 それも残念だったことのひとつですが、これは次年度(つまり今年)の楽しみということにしましょう。


以上で『ダリとファッション』展の感想は、とりあえず終わりにさせていただきます。 そいぢゃ。



PS:
今投稿しようとして、掲示板を拝見したら、yellowdaliさまの書き込みによると、ポンピドゥー展でも『メイ・ウエストの部屋』が再現されているとか。 まさか“簡易再現”ではないと思うのですが、立ち入り禁止でもなさそうですね。 こういう再現展示は、これまでも前例があったのでしょうか。 近年は、ひと頃に比べるとダリとは疎遠になっていて、最新情報からも離れているので、そのうちに付いていけなくなるような気も・・・(今までは付いてこれた、ちゅーわけでもないのですが)。

 
 
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